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統合失調症
病態
普段私たちは、外界から必要な情報を選択して自分の脳に取り入れていますが、統合失調症では選択する機能が弱り、情報や刺激が一気に脳に入ってきます。
そのため、脳が対応できなくなり、思考や感情等の働きをまとめる(統合する)ことができなくなった状態です。
原因としては、脳の神経伝達物質であるドーパミンの機能亢進の他、様々な神経伝達物質異常によるものと考えられています。
症状
思考や感情をまとめられなくなった結果、その場にいない人の声が聴こえる幻聴、「町中の人が自分の悪口を言っている」、「ニュースで自分のことが放送されている」等と感じる被害妄想等の病的体験や、意欲低下、自閉傾向、状況にうまく対応できない認知機能障害が生じます。
治療
薬物治療が基本です。薬物治療の中心は、ドーパミン等の機能異常を調節して症状を改善する抗精神病薬です。
回復するに従って、生活技能訓練や心理教育等も行って、社会生活への適応を図っていきます。
経過
一般的には、前兆期 → 急性期 → 回復期 → 安定期という経過がみられます。
回復期や安定期に、大きなストレスがかかると、再発して再び急性期に戻ることがあります。
前兆期
統合失調症の発症前に、前駆症状として、不安・焦燥、不眠、強迫症状等が生じることがあり、社会適応が悪くなって、不登校や欠勤等の行動面の変化もよく見られます。最近は、前兆期での早期発見・治療による、統合失調症予防が注目されています。
急性期
幻覚妄想や興奮を呈しており、幻覚妄想の世界を現実として捉えているため混乱し、周囲とのコミュニケーションも困難になります。
本人には病識がないため、周囲の人の勧めで精神科を受診することが多く、外来治療が困難な場合、入院が必要となることもあります。
回復期
急性期の激しい症状がおさまった後も、症状が再発することがあり、再発予防が大切になってきます。この時期に、感情の起伏がなくなったり、意欲が低下して自閉的になり、引きこもった状態になることもあります。
安定期
症状がある程度固定化してきますが、状況にうまく対応できない認知機能障害が現れることもあります。よって、生活技能訓練で対応の練習をしたりすること等で、社会生活への適応を図ることも行われています。
統合失調症も、糖尿病のような慢性疾患と考えられるため、継続的な治療が必要です。薬物療法の進化と継続的な治療によって、日常生活に支障を来さない程度に回復し、デイケアや作業所へ通ったり、職場や学校へ復帰する人も増えてきました。